結果と評価
吉田達磨氏のヴァンフォーレ甲府監督就任が発表された。
彼は柏、新潟でいずれも任期途中での退任という憂き目にあっており、甲府就任に関しても懐疑的な目があるようだ。
ただ、ぼくは吉田氏が、言われているほど悪い監督であるとは思っていない。
サッカーの監督には、いろいろなタイプがいる。
長い期間をかけてチームを作るタイプ。
現状に合わせて求められる結果を出すタイプ。
ビッグクラブを指揮することに長けた人もいれば、小さなクラブで規模以上の結果を残すことに強みを持つ人もいる。
吉田氏は、おそらく長い時間をかけてチームにコンセプトを浸透させるタイプ。
そして、築き上げたベースを元に、臨機応変に戦えるチームを作れる監督だと思っている。
柏ユースを日本屈指の育成組織へと育てあげた手腕には、一目を置いてしかるべきだと思う。
ただ、柏や新潟では、いろいろな問題もあったようで、その時間を与えられなかった。
氏が3年同じチームを率いれば、おそらく一貫性をもった強いチームを作るのではないかと思っている。
プロの世界では、結果が第一に評価される。
もちろんそれは当たり前のことだ。
ただ、たとえば浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督は、結果だけでなく、その内容を見てほしいと訴えている。
結果がなぜ出たのか、あるいは出なかったのか。
そして、そこで何が行われていたのか。
表面だけでなく、より細部、深部を見ていくことは、サッカーに限らず、何事においても必要だと考える。
もしかしたら、すばらしい取り組みをしているのに、うまくかみ合わないところがあるだけかもしれない。
その場合、そのズレさえ修正できれば、ものすごい勢いで物事が好転しだすかもしれない。
きっと、世の中にはそうした結果と評価のズレが、無数に存在しているのだと思う。
それは組織の在り方でも、人間関係でも、何でも。
とまあいろいろ書いてはみたのだけど、正直な印象として、吉田氏の甲府監督就任は、厳しいチャレンジになるとは思っている。
吉田氏のサッカーが形になり、結果が伴うまでには、ある程度の時間が必要なはず。
ただ、現状の甲府の戦力は、今シーズンJ1に残留した15チームの中で、ひいき目に見ても上位10番手までにはない。
戦力でも戦術でもアドバンテージが生まれない以上、甲府は今シーズン同様、残留争いへと巻き込まれることが予想される。
はたして、そこで我慢ができるか。
おそらく、甲府という地方クラブの体質的に、厳しいのではないかと思う。
J1残留のためになりふり構わぬ手を打つのは、過去の事例を見ても明らかだからだ。
新潟での経験を生かし、吉田氏が新たな引き出しを得たのか。
あるいは、甲府が大幅な戦力の底上げを図ることができるのか。
まずはその辺がポイントになると思う。
吉田氏がその能力をフルに発揮できるとすれば、若い才能が多い上、彼らを軸とした長期的な視野でのチーム作りを容認してくれるクラブ。
そして、やがて訪れるであろう厳しい状況でも勝ち点を積むために、個で何とかできる強力なアタッカーを要していることも必要だろう。
今のJを見渡して、その条件にもっとも合致するクラブとなると・・・。
やっぱり、柏なんだよなあ。
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